子犬の成長とごはん
健やかな子犬の成長は食事から
子犬は、生後1~2か月の授乳期を経て、1年ほどで成犬へと成長していきます。その成長力は、人と比べると驚異的で、生後7~10日で体の大きさは出生時のなんと2倍。生後半年を過ぎる頃には、体重が成犬時の約50%にもなります。体の成長や維持は、食事から得たエネルギーによって支えられていますから、その様な急激な成長を遂げる子犬の時期には、成犬時よりもたくさんのエネルギーが必要です。摂取エネルギーのうち、生後すぐから約50%ものエネルギーが成長のために使われ始め、成犬になるにつれて、その割合は徐々に減っていきます。エネルギー源となる食事は子犬の成長にとって、とても重要なものなのです。
子犬の栄養とフード
栄養は、骨格や免疫、筋肉、臓器など、身体の成長速度や発達に、直接的な影響を与えます。
乳児期に飲む母乳は、エネルギーが高く、免疫も補ってくれる優れた食事です。この時期の子犬は母乳を十分飲めているのであれば、栄養面は安心です。ただし、兄弟が多くて哺乳がしづらい環境にいたり、虚弱の状態にあったりする時には、脱水や低血糖に気をつける必要があります。
離乳後、幼犬期の食事には、市販の子犬用フードを与えることが一般的です。子犬用フードには、筋肉や臓器、身体作りの素になる良質のタンパク質が多く含まれていたり、強い骨と歯を作るためのカルシウム、リン、マグネシウムなどのミネラルや、その吸収を助けるビタミンが配合されていたりなど、子犬のために栄養バランスが整えられているので安心して与えることができます。
しかし、栄養面で安心できる市販のフードでも、気に掛けてほしいポイントがあります。それはフードの中身。子犬には高い消化率のフードがおすすめです。というのも、エネルギー密度と消化率が低い食事は、子犬を大食傾向にさせるとされていて、鼓腸症や下痢といった身体への悪影響も懸念されます。
犬は、雑食ですが肉食動物と同じ身体的な特徴をもち 【 野菜 】や【 炭水化物 】の消化は苦手、【 お肉 】の消化が得意な動物です。消化の良い食事を選ぶときは、食材に注目して選ぶと良いでしょう。フードの原料は、製品の裏面(又は側面)にある原材料表で確認することが出来ます。
また、どんなに良いフードであっても、食べすぎは【 肥満 】に直結します。子犬の時期の肥満は、成犬期とはちがい、脂肪細胞の数が増える肥満を引き起こします。そして体重の増加は、発育中の骨にも負担をかけてしまいます。子犬が健康に過ごすためにも、フードの消化率や与える量には十分に注意が必要です。
※大型~超大型の子犬の食事の注意点
過剰なエネルギー摂取は骨格疾患の原因となります。また、カルシュウムの過不足に対して、大型犬は小型中型犬より感受性が高いとされているため、エネルギー量と共にカルシュウムの含有量についても配慮が必要です。カルシュウム0.7~1.2%DMの食事が推奨されています。
子犬へのフードの与え方
子犬は身体が小さいだけでなく精神的なストレスを受けやすい一面があります。フードを変えること自体がストレスになり下痢をすることがあるため、基本的にはごはんもそれまでに与えていたフードと同じものを与えるようにします。フードを切り替える際には、健康状態にはいつも以上に配慮しながら、少しずつ変更することをおススメします。7~10日間ほど、ゆっくりと時間をかけて変更していきます。子犬の消化器系は非常にデリケートであることを忘れず、子犬の体が新しいフードに慣れたことが確認できるまでは、しっかりと様子を見守ってあげてください。
■量・回数
基本的にはドッグフードのパッケージの裏に書かれている給餌量を目安に与えると良いとされています。子犬は一度に食餌をたくさん食べることができないため、1日の給餌量を、3~4回に分けて与えます。食餌量が少なかったり、与える時間の間隔が長かったりすると不調を引き起こすことがあります。子犬の食餌量が適当なのかは、便の硬さが見安になります。便がやわらかい時は、消化不良を起こしている可能性があります。また、下痢が続く場合は獣医さんに相談してください。
■状態
生後、3・4か月までの子犬は、消化器官が未発達のため、消化しやすいようにふやかせて与えることがあります。ドライフードをふやかすことで、喉に詰まらないようにする、また、風味がよくなり食欲が刺激されるというメリットがあります。しかし、成犬になるまでに、子犬の様子を見ながらドライフードにもどしていくことが大切です。
■選び方
子犬の身体が、どのように成長するかは、フードによって大きく左右されると言っても過言ではありません。だからこそ、レシピにも注目してください。美味しく安心・安全な原料を使用した子犬用フードを選んで欲しいと思います。
※注意:フードの切り替えに際して体調や成長面の不安がある場合には、獣医さんへ相談することをおススメします。
【 番外編 】オヤツ
いつものフードにプラスして、おやつを食べると、1日に摂取するエネルギーやカルシウムが過多になったり、栄養のバランスが崩れたりといったことが考えられます。オヤツを与えるときには主食であるフードとのバランスを考えて調整をするようにしましょう。そういった調整はなかなか難しいことですので、子犬の様な成長期には、おやつは控えた方が良いかもしれません。
最後に・・はじめて子犬を迎えたあなたへ
子犬は、見た目も行動も愛くるしい存在で、一緒に暮らせば、あなたを幸せな気持ちにしてくれます。犬は、長きに渡り、私たちに寄り添い、暮らしに喜びと恩恵をもたらしてくれるだけでなく、かけがえのない大切な存在になります。
犬との暮らしには、その生活費や世話の手間、社会的な責任、そして、命を預かる責任が伴います。また、子犬の時期には特に、気にかけなくてはいけないことが色々とあります。適切な食事管理、しつけ、排泄物の処理、そして、大切な心の成長も愛情をかけて育まなくてはいけません。
大変だけど喜びの多い犬の子育て。楽しみながらも心して臨みたいですね。そして、犬の寿命は10~20年程です。20年後のあなたは何歳になっているでしょう。
犬を飼うことは、長期的な取り組みであるという事を、いつまでも忘れずにいましょう。
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